向田邦子『女の人差し指』に「母に教えられた酒飲みの心」というエッセイがある。
父が酒飲みだったので、子供の時分から 母があれこれと酒のさかなをつくるのを見て大きくなった。
(略)
酒のさかなは少しづつ。
間違っても山盛りにしてはいけないということも、このとき覚えた。
できたら海のもの、畑のもの、舌触り、
歯ざわりも色どりも異なったものが並ぶと盃が進むのも見てきた。
あまり大ご馳走でなく、ささやかなもので、季節のもの、
ちょっと気の利いたものだと、酒飲みは嬉しくなるのもわかった。
娘が作ったサトイモとシメジの吸い物が残っていたので、
その汁をかけながらサトイモを煮ころがし、
汁でゆるめた味噌をかけ、白ごまを振って利休にする。
出汁昆布を細く切り、醤油に入れて、とろみが出るまで混ぜて松前醤油を作り、
白菜の外側の葉と人参を塩もみしてから、洗って和える。
大根と人参を繊に切って塩を振り、水が出たら絞る。
レンコンと油揚げはカリカリに焼く。
春菊はゆでて絞り、全部を和える。
ご馳走を作ろうと思うと、何かあざとい味になるけれど、
昨日より少し、上手に作れるように
と思えば、そこそこうまいものを作ることができます。
父が酒飲みだったので、子供の時分から 母があれこれと酒のさかなをつくるのを見て大きくなった。
(略)
酒のさかなは少しづつ。
間違っても山盛りにしてはいけないということも、このとき覚えた。
できたら海のもの、畑のもの、舌触り、
歯ざわりも色どりも異なったものが並ぶと盃が進むのも見てきた。
あまり大ご馳走でなく、ささやかなもので、季節のもの、
ちょっと気の利いたものだと、酒飲みは嬉しくなるのもわかった。
娘が作ったサトイモとシメジの吸い物が残っていたので、
その汁をかけながらサトイモを煮ころがし、
汁でゆるめた味噌をかけ、白ごまを振って利休にする。
出汁昆布を細く切り、醤油に入れて、とろみが出るまで混ぜて松前醤油を作り、
白菜の外側の葉と人参を塩もみしてから、洗って和える。
大根と人参を繊に切って塩を振り、水が出たら絞る。
レンコンと油揚げはカリカリに焼く。
春菊はゆでて絞り、全部を和える。
ご馳走を作ろうと思うと、何かあざとい味になるけれど、
昨日より少し、上手に作れるように
と思えば、そこそこうまいものを作ることができます。
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