春に多い、出会いと別れ。
数年ぶりにある人が帰ってきた。
駅まで迎えに行き、
改札口の向こうに顔が見えた途端、僕は心弾んだ。
その人は
僕の前に来ると、恥ずかしそうに下を向き、
深々と頭を下げた。
涙をこらえているように感じたので、
僕は、肩に触れようとした手をひっこめ、
ただ会釈をして
お帰りなさい、と言った。
長く一緒にいた人が、遠地へ旅立った。
送って別れる時、
その人は唇をかみ、直立不動で軽く会釈をした。
必死に感情をコントロールしているようだったので、
僕も、伝えたいこと話したいことみな、封印して、
ただ、
お元気で、
と手を振った。
やりたいことがあれば、行きたいところがあれば、
旅立とう。
多くの人は、それを我慢させることを望んでいない。
可能性の中へ出かけよう。
PR