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[ 2024/04/25 08:11 | ]
お大師さんはなぜ右を向いているのか 1
1、真言密教と真言宗の違い 



弘法大師空海像 (金剛峰寺ホームページから)

 
お大師さんは少し右向きである。 


以前から、

真言宗というグループの中にいて、何となく違和感を感じていたのだけれど、

「真言八祖像の成立と弘法大師信仰ー空海御影と「仏教三国」をめぐってー」
                        (『立命館史学』23、2002)

を読んで、そのモヤモヤが少し氷解した。

それは、

真言密教と真言宗は違う、ということ。


真言密教は『大日経』と『金剛頂経』をよりどころとし、

悟り(即身成仏)を目的に、数々の修行方法を実践する。

大悲(自他を救うこと)
勝義(道を求めること)
三摩地(心を静かにまとめる瞑想修行)

が基本。

祖師は金剛智、不空、一行、善無畏、恵果の五人。(実在の人のみ)


真言宗も、よりどころとする経典や目的は同じだけれど、

お大師さんの思想が中心になり、祖師は弘法大師空海。



当然、インド中国から伝わった大日経・金剛頂経にお大師さんは登場しない。

真言宗で必修とされている十巻章には、

お大師さんが引用した両経典の文章があるけれど、それはお大師さんの思想を経ているから、

原典を読むのとは理解が少し違う。

そして、

真言宗はお大師さんが入定した後、お大師さんを祖師(大師堂や御影堂の本尊)として拝み、

お大師さんが入定した21日に行う御影供(みえく)は重要な儀式になっており、

真言密教よりは民衆に近い仏教であると云える。


真理の体得は人によるのか、教えによるか、考えかたが二通りある。

お釈迦さまを礼拝するのか、お釈迦さまが説いた四諦八正道の勉強と実践によるのか。

お大師さんを拝むのか、お大師さんが体系づけた実践修行によるのか。


人を拝む場合、

勉強と実践は二の次でもしなくてもかまわない。ただ、心から拝めばよろしいという雰囲気になる。

したがって、

即身成仏(悟り)は薄れ、思想の外に出てしまいがちである。


特に、

お大師さんは十住心思想などによって、

霊魂の存続という非仏教的な思想を、

成仏への祈願という仏教的行為に転換させたから、

死者に対する儀礼が重要視され、

修行による悟りを求めなくても、

葬送儀礼先祖供養ができればよい宗教になってきた一面がある。

お大師さんを礼拝するけれど、

お大師さんの教理、成仏論、仏身論は知らない人が少なくない。そこに真言密教があるのだけれど、


以下、明日。
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[ 2017/08/29 09:22 | Comments(0) | 眞天庵仏教塾・密教塾 ]

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