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[ 2024/04/18 13:47 | ]
大乗のおごり?
金剛界三十七尊をシンボライズした線香護摩



燃え残った灰で吉凶を占う。

昔は祈祷を頼んだ家に伺って修法したものです。


それはさておき、

ある人から

みんなが小乗仏教の修行をして、しあわせになれば良い。

修行しない人を救うなんて、大乗仏教の驕りではないか。

といわれて、

なるほどなあ、と思いました。


そもそも、

小乗と大乗とは何が違うのでしょうか。

小乗は心の分析をするために、

眼識,耳識,鼻識,舌識,身識,意識の六識を説き、

それぞれが眼,耳,鼻,舌,身,意の認識器官に依存して,

色 (物質) ,声,香,味,触,法 を認識する、

としますが、

大乗は、

さらに阿頼耶識(あらやしき・心の種子)、未那識(まなしき・自我)

の二つを加えて八識とします。

この識というのは妄想迷い煩悩であり、

これをトレーニングによって智慧に転換させます。


『十住心論』では、

自我とは、

色・受・想・行・識の五つの存在要素(五蘊)のみが仮に和合したものにすぎない、

とする声聞(しょうもん)の教えと、

根本的な迷いを断つために、新しい業が生起するのを完全に除く縁覚(えんがく)

の二つを小乗とします。(まとめて二乗と云う)

どちらも、実体的な自我の存在を否定していますが、

声聞と縁覚とでは、その瞑想の浅深に差があります。

声聞はただ迷い苦しみの現象を除くだけですが、

縁覚はその根本を断つ。

思想と実践方法が少し違う。


『三昧耶戒序』には、

このふたつは、とてつもなく長い修行の年月がかかるので、

気楽な気持ちで求めるべきではない、とあります。

そして、

小乗は、

自己の修行に終始するだけで、

他を利益する大悲のはたらきを欠く

と考えられています。


大乗に特徴的な考えかたが、

仏性とか如来蔵で、

だれでも本来、仏の性質・本性を持っている、

ということ。 

この仏性を「トレーニングによって自由自在に発揮する」ことで、

小乗では滅するべき煩悩が残された状態でも、

苦しみに煩わされることなく、また他の衆生の苦しみをも救っていける

としています。


大乗は基本的に本覚(ほんがく・元々覚っている)で

小乗は始覚(しがく・修行によって煩悩をうち破り、悟りの智慧が現れる)

なのも違いのひとつです。

この点では、

迷い煩悩と共に苦しみが始まるとするお釈迦さんの教えと大乗は、ちょっと違うものになります。

 

ところで、

『般若心経秘鍵』は、

弘法大師著作の中でも、のびのびと制限制約無く、リズムよく自由に書かれているので、

読んで楽しいものですが、

この中にも小乗大乗について書かれています。


縁覚 は、

師につかず、そよぐ風や揺れる花を縁として無常を観じ、

長い時間を経て根本的な迷いの種子を除く。

声聞 は、

苦を滅する道理を覚るために、不浄観などの瞑想をする。


大乗仏教のそれぞれを解説すると、

普賢菩薩の法門である華厳の教えは、

存在と存在が互いに溶け合い 、

存在と真理、真理と真理も互いに溶け合うと悟り、

文殊菩薩の法門である三論では、

不生不滅不断不常不一不異不去不来によって戯論を断ち、

絶対空を身証しようとする。

弥勒の法門・法相では、
 
眼に映る境界(耳鼻舌身意)が固定的に有るとする執著を破る。

とあります。


いずれにしても、

小乗大乗の違いは、

人の資質によって段階があるということで、

病に応じて薬があるように、

心のレベルに応じて教えがあります。

大切なのは、

薬の能書きを読むだけでは効果なく、

飲んで初めて効くように、

小乗でも大乗でも、修行して初めて意味があります。

それは、

表面だけではなく、本質を見通す眼を持つトレーニング です。


『秘鍵』には、

般若心経にある最初の「是大神呪」は声聞の真言、

「是大明呪」は縁覚の真言、「是無上呪」は大乗の真言、

「是無等等呪」は密教の真言であり、


「羯諦」は声聞、次の「羯諦」は縁覚、

「波羅羯諦」は大乗の修行の結果を指し、

「波羅僧羯諦」は、密教の修行の結果を明らかにし、

「菩提薩婆訶」は、総ての教えの究極的なさとりに入る意義を説明している

とあります。


大乗も小乗も、

人による、ということです。
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[ 2017/10/25 13:27 | Comments(0) | 眞天庵仏教塾・密教塾 ]

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