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新春随想 ~ 元日の風景 ~
新年祈祷の護摩を修し、元旦の用事を済ませてから家族5人で義父の見舞いに行く。


助手席に座った妻はいつもしゃべっている。

辻から曲がるときは

はい、左オッケー

と指示する。


他人のOKでアクセルを踏むドライバーはいないと思うけれど、必ず言う。


カーステレオから流れるビートルズの「I Wanna Hold Your Hand」を聞いて

アホな放尿、って聞こえるよね

と言う。

そんなことは絶対にない。



それはさておき、

義父はほぼ寝たきりになって半年以上。もう、お正月も何も分からないかもしれない。

言葉はほとんど出ないけれど、何かの反応はする。何か言いたそうに見える。

寂しいとか悲しいとか、感じているのだろうか。それとも、昔のことを思い出しているのだろうか。


認知症で寝たきりの人の脳内を可視化できたら、と思う。何かとてつもない哲学的思惟があるかもしれない。


僕は望診する。額、目、髪の生え際、耳、掌などを観る。


妻が「都の西北」を枕元で歌う。義父の母校。

僕が「紺碧の空」を歌う。

僕は東京六大学の校歌応援歌を総て歌えるという特技があるんだ。

長女と長男も日大の校歌を歌う。


正月も盆も普段も無い、無言の人の病室が一瞬賑やかになる。
 
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[ 2013/01/04 15:31 | Comments(0) | 米ぞうの家 ]

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